5.22.2013

移民をポジティブに受け入れよう!!月間



"La Inmigración es positiva"(移民はいい事なんです)と直截的に銘打って、ウルグアイに入って来る移民をポジティブに受け入れよう!というキャンペーンが今週月曜日より1ヶ月間にわたって実施されます。伝達手段はラジオCMと街頭ポスターと、インターネット。


an-anが毎年正月に組む貯金とダイエット特集は、いつまでも日本人は貯蓄と痩身が達成されてない事の裏付けであるのと同様(個人的には、外国からの目線では日本人はもう貯金も十分してるし、痩せる必要はひとつもないと思いますが...)、キャンペーンがあると言う事は今この社会ではこれこそがまさに課題であるという事です。


どこの国にも移民受け入れには課題はあるのでしょうが、ウルグアイは多様性の殆ど無い社会であるため(殆どがスペイン系・イタリア系(若しくは欧州系)の移民の白人、奴隷として連れてこられた黒人の祖先がちょっとだけ、原住民はウルグアイ建国当初に白人によりほぼ皆殺しにされたため、ウルグアイには殆ど祖先が残っていません。) 、この多様性の受け入れがまず課題となっています。人種の違いはもちろんのこと、外国人であるが故のノンネイティブならではの話し方・アクセント、同じスペイン語でも違うアクセント、これらも差別につながります。外国人の移民と言えば、仕事を奪われると言うステレオタイプによる差別がまず考えられますが、その他にも子供が学校で差別をされる(生徒の間だけではなく先生からも)という問題も生じているとの事です。

これらの事を受けて、本キャンペーンでは、ウルグアイに来ている移民は、ウルグアイが好きで来てるウルグアイファンなんだから、多様性を尊重してポジティブに受け入れようよ!ウルグアイでは外国人にもウルグアイ人と同じ権利と義務があるんだから、差別はダメだよ!と周知するのが目的です。


現在ウルグアイの人口の約2.4%が外国からの移民であり、内訳は35%がアルゼンチン人、17%がブラジル人、10%がアメリカ人、7%がスペイン人、4.1%がペルー人、2.8%がパラグアイ人、2.7%がチリ人だそうです。

特にウルグアイは人口約350万人の小国、人口増加に伴う労働力の増加は同国の発展につながる歓迎すべきものと考えられ得ます。

また、70年代後半〜80年代前半の軍事独裁政権時代にウルグアイを去ったウルグアイ人も数多く存在し、彼らや彼らの子供達がウルグアイに戻って来る場合は、彼らも移民として考えられます。


ちなみに、ウルグアイの法律による移民の定義は 、

 Migrantes, son los extranjeros que ingresen a Uruguay con ánimo de residir y establecerse aquí, en forma permanente o temporaria.

「移民とは、ウルグアイに居住し定着する目的で入国する外国人で、永住、一時居住の形態がある。」とされています。 ので、ウルグアイに住む意気込みで来さえすれば、誰でも移民ということです。ははは。

で、ウルグアイの場合は、外国人にもウルグアイ人と同じように扱われる権利があると述べましたが、ほんとでした。(もちろん参政権などは別の要件が必要ですが)

Uruguay reconoce a los extranjeros migrantes:
la igualdad de derechos con los uruguayos, sin distinción alguna, por motivos de sexo, raza, color, idioma, religión o convicción, opinión política, origen nacional, étnico o social, nacionalidad, edad, situación económica, patrimonio, estado civil, nacimiento o cualquier otra condición
y el derecho a la migración y a la reunificación familiar.

「ウルグアイは外国人移民がウルグアイ人と同等の権利を有するとする。その性別、人種、肌の色、言語、宗教および信条、政治的意見、生まれた国、民族、社会、国籍、年齢、経済的状況、財産、法律上の身分(既婚か未婚か等)、出自、その他あらゆる条件においても区別されることはない。また移住の権利と家族の再結合の権利も認める。」

とあります。具体的には、los derechos de salud, trabajo, seguridad social, vivienda y educación. 「健康、労働、社会保障、住居、教育における同等の権利」が法で認められています。

とまあ、ウルグアイの法律、ちゃんと立派なんですよね。またそれを少しずつでも周知しようとする今回のような動きもありますし。

ウルグアイはヨーロッパの文化、特に教育や政治の部分ではフランスの影響を強く受けている(らしい、ウルグアイ人からの受け売りです)ので、明文化されたものが全て。何かと言うと法律を拠り所にします。ですので何かと言うと法律〇〇条によると...と言われたり、ホームページに説明書きがあったりして、ややこしい事この上ないのですが、単なる意識レベルの啓発だけではなく、国民が「ああ、こういう法律に基づいているのか」と自国の法律を知る事は、いい事だと思います。これって日本では、学校の社会科の授業以外ではあまりされてない事かなと思います。


ただまあ、同等の権利を有するからと言って、ウルグアイに外国人としてねじ込むのがラクかと言うとそれはまた別の問題。スタートラインが法律上は同じであるというだけで、そこからは持てる力のすべてを出して、ウルグアイ人および他の移民達と競争・共存しないといけないということで。とほほ。

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