8.03.2012

AUF、スアレスに対する英国観衆の態度について申し立てをする予定。

さてロンドンオリンピック、盛り上がっておりますね。


ウルグアイ勢は残念ながらこれまではメダルには届いておらず。
特にメダルが期待された男子サッカーも、予選グループで敗退という不本意な結果に終わってしまいました。これはウルグアイ国民、かなりがっくり。



さて、その男子サッカー。ウルグアイ vs イギリス戦で、とウルグアイ国家斉唱時、およびスアレスに対するイギリス人観衆のブーイングがひどすぎて敬意に欠けていたと、AUF(ウルグアイサッカー協会)がFIFA(国際サッカー連盟)とConmebol(南米サッカー連盟)に抗議をする予定であると発表されました。


スアレスが観衆に攻撃される材料になった出来事は、もちろん、2011年10月に、現在スアレスがプレーしているプレミアリーグの試合で相手チームの選手エブラに人種差別的発言を行い、さらにその行為による出場停止から復帰後の再対戦時にエブラとの握手を拒んだ事です。


AUFの言い分としては、『スアレスはブーイングを受けるべき選手ではなく、ウルグアイ国も敬意深い国であり、ブーイングに値する国ではない。またオリンピックの精神に反する。この観客の行為は、ウルグアイチームの予選敗退よりも遺憾である。』だそうで。

さらにスアレスは既に8試合出場停止という処分を受けており、犯した過ちは精算しているので、今後もこの件で攻め続けられるべきでないともされています。

イギリス人がどの位アンチ人種差別なのかはさて置いて、少なくとも自国代表と対戦するウルグアイのエースに対してプレッシャーをかけるいい口実にはなりました。


またスアレスと言えば、2010年W杯時、対ガーナ戦の『神の手』事件もあり、それでもってもスアレスはフェアでない選手であるというイメージがついてまわっています。



一方でサッカーというスポーツ自体が過激な応援がつきもののスポーツで、あらゆる罵詈雑言が選手に対して投げつけられるのでオリンピック精神にそぐわないのかも知れませんが…。とはいえ、起こってしまった事についていつまでも避難されるのは、さすがにスアレス本人とスアレスを擁護するチームメイトも気分が悪いようです。


ただ、ウルグアイに住むいち外国人としては、AUFの抗議については同意しきれない所もあります。もちろん観衆がスアレスはともかくとして、国歌斉唱時にブーイングをするのは敬意を欠く行為であるので、訴えたらいいんでしょうが(とはいえ、オリンピックではないですが、W杯予選でウルグアイ人観衆が相手国の国歌斉唱時にブーイングをした事だってあるんですけどね。)、同国内の異人種およびウルグアイ人以外の外国人に対する、人種的・文化的・慣習的配慮の無さ、排他的な態度を肌で感じている為、AUFが自分たちが攻撃された時だけ敏感になる事に非常に違和感を感じるのです。
もっとざっくばらんに言うと、『いや、キミ達、そんなに自分らで言うほど敬意深くないし。』とツッコミたいというか。


スアレスの人種差別発言についても、国内の庶民の間ではスアレスが国際的な場でやってはいけない事をやらかしてしまったというよりも、外国人細かい事でスアレスをいじめんなよーまったくウルグアイ文化を分かってねえな〜という上から目線の論調の方が強かったので、国際的な場での人種差別に対するピリピリしたデリケートさ、オリンピックの観衆のスアレスに対する反応強さは、一生分からないのかもしれませんけどね。


まあ、スアレス選手はウルグアイではもちろん大人気なんですが、その一方でアタマに血が上ったらあんまし後先考えずに行動・発言する悪い癖も国民はよく知っています。
ウルグアイの愛すべき問題児、スアレスを擁護するAUFの抗議、さて、どう受け取られるんでしょうね。

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