4.15.2013

スポーツにおける暴力反対キャンペーン

さて、南米でサッカー観戦と言えば、割とすぐ思い浮かぶステレオタイプと言えば、興奮して暴れる凶暴なサポータでしょうか。


もちろんその通りの国もあるのですが、ウルグアイは比較的穏やかで、熱狂的サポータの集うゴール裏ど真ん中に行かなければ、割と平和に試合を楽しむ事が出来ます(それでも注意は必要ですが)。


...の筈だったのですが、最近、立て続けに試合中のサポーターによる喧嘩・暴力が相次いで起こり、それを受けて、「暴力をファンである事を混同しないで」というスローガンのもと、暴力反対キャンペーンが打たれています。

 

今年の1月16日、クラシコ(ウルグアイの2大クラブ、ナシオナルとペニャロールの試合)で、ただしこの場合は親善試合だったのですが、PKの判定を巡って選手たちが審判に抗議している間に入った警察をナシオナルのGK、Jorge Bavaが殴るという出来事が起こりました。

またそのクラシコの前にペニャロールファンの20歳の青年がナシオナルファンに銃で撃たれてICUに運ばれています(無事退院しました)。


2月にもコパ・リベルタドーレス杯のペニャロール vs ベレス(アルゼンチン)の試合でもファン同士の喧嘩が起こり、3月にもペニャロールファンがマリファナを1kg以上所持しているのが発見され、さらにその中には数人の前科者が含まれており、さらには非正規のルートで入手した50枚もの代表試合のチケットを持っていたそう(こういう人たちが代表試合にスタジアムに居ると思うと、個人的には揉めそうで面倒くさいんですが…)。また、ナシオナルの試合後、ナシオナルのファン(!)が試合後、ロッカールームに移動する選手達を押して、ファンとセキュリティの間で殴り合いが発生。さらにその翌日はペニャロールの会長とファンの間で殴り合いが。

4月に入ると、 ペニャロールの陣取るセンテナリオスタジアムのアムステルダム席はまさにカオスだったそうで、盗み2件あり、刺されたファン1名あり、禁止された場所に旗を掲げようとしたファンを静止しようと入った警察に投石され、警察も一部の入口の警備を放棄して撤退したり。


とかなんとか、ファンだけではなく選手もクラブ関係者もひっくるめて、一気に暴力の嵐が来た感じです。
 
さすがにこれでは、とスポーツの暴力対策のために組織された委員会が、リスクの高い試合は無観客試合でやってはどうかと提案をするまでに。


善良ないちサッカーファンとしては、折角のクラシコやコパ・リベルタドーレスを生で見るチャンスを失ったらたまったものじゃありません。ファンの皆さんにも自重いただいて、やっぱりスポーツは素面で、フェアに楽しんで見るものに戻ってもらいたいです。


実は2009年に、既にバスケットボールリーグ(意外にもウルグアイでは割とバスケが人気です。サッカー程ではもちろんありませんが)で、応援している チームのシャツを着て観戦にきた10代の少年2名が、相手のファンに殴られた末死亡すると言う痛ましい事件が起こっています。この反省をぜひ忘れて欲しくありません。

 


…と言っても正直なところ、ウルグアイには様々な経済的な層、教育の層があり、家庭での道徳教育が欠如している場合も多々あり、一概にキャンペーンを打ってはいそうですか、と収まる程みんな聞き分けが言い訳ではないんですよね。(テレビのきれいなキャンペーン映像を見て思いとどまる層はそもそもスタジアムで暴力なんて奮わないと思うんですが、ウルグアイ、キャンペーンさせると映像だけは綺麗なんですよね。)

スポーツだけではなく全体的にも、近年進んでる若年層を中心とした麻薬汚染、銃犯罪の増加等々も絡んで、凶悪犯罪も増加して来ておりますし、なかなか一筋縄ではいかないのかもしれません。

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